リリーのすべて

  • TOHOシネマズみゆき座

評判が非常に良かったので駆け込みで鑑賞。
感想が無駄に長くなりました。
認め合い支えあって、とてもいい関係だった夫婦が、少しずつ、でも確実に関係が変わっていってしまう様子がとても切なくて。リリーはもちろん苦しんだろうけど、それ以上に妻のゲルダは、大切な、大好きな夫が消えて行ってしまう事実にずっと苦しみ続けていて、それが発露するシーンでは思わず涙が溢れてしまった。
一見笑顔でやり取りをするシーンの陰には、必ず関係に苦しむ姿があり、映画を通して切なく苦しい思いに包まれていて、均衡が崩れかける危うさがとても丁寧に表現されていて、思わず惹き込まれた。
アイナー(リリー)が女性性に目覚めるきっかけを作ったのが他でもない妻だったという点が、きっと彼女をずっと苦しめていたのだろうと思うとつらくてしかたなかった。
もし自分の大事なパートナーだったはずの人がいなくなってしまう、それもそこに存在しているのに変わっていって存在しなくなってしまうということを想像すると、やはり耐え難い。そしてこれが事実ということがなによりも切ない。
LGBTの苦しみや生きにくさはもちろん痛いほど感じたけど、やはり妻のゲルダに感情移入して観てしまった。
視覚的な見どころについて。
女性の格好をしたリリーがどんどん綺麗になるところも素敵だけど、とにかくエディ・レッドメインのスーツ姿(1920年代のデンマーク?)が異常にかっこよくて、ぎゃー!となりました。あの襟の高いシャツはなんて言うの?コート姿もシュッとしていてもうひっくり返るくらいかっこよかった!
あとは、ハンスが某国の大統領に似すぎ。似すぎ。びっくりした。もう彼が出てくるとそれしか考えられなくなって、すごいかっこいいんだけどそれで頭がいっぱいになってしまった。あと絶妙なタイミングで出てきたりフレームアウトしてくれたりしていて、お前めっちゃいい奴だな!って思いました。
いい映画を観ることができて良かったです。