東劇にて。

娘を夫に預けて久々の映画館。先週一幕見席で歌舞伎を見ようとして、どうしても都合がつかなかった鬱憤を晴らすために映画で歌舞伎を見てきました。
平成21年6月の歌舞伎座さよなら公演を映像化したもの。見終わって、この歴史的な舞台を生で見れなかったんだなあ、という後悔がじわじわ押し寄せてくるくらい、本当に素晴らしかったです。主人公の与兵衛を演じる片岡仁左衛門さんは2009年当時で65歳ですが、舞台の上ではまぎれもなく年若の美青年で、お吉殺害の際に乱れた着物から覗く太腿の艶かしさったら、それはもう目が離せなくなるほどでした。歌舞伎では女形もいるし、白塗りの化粧で顔のしわなんかもわからなくなることも多いですが、それだけじゃない、見た目だけじゃない若さが、仁左衛門さん演じる与兵衛にはありました。
また、終盤でお吉から無心を断られ、どん詰まりになった与兵衛の、絶望から狂気が目覚める時のその表情や身に纏う雰囲気のぞっとすること!これはシネマ歌舞伎ならではの醍醐味だったと思います。もちろん生の舞台で感じる雰囲気にはかなわないかもしれないけど、間近で表情をしっかり見られて、あまりの仁左衛門さんの役者っぷりに、なんだかそれだけですごく感動して泣きそうな気持ちでした。
与兵衛の狂気の目覚めから終盤の"油地獄"のシーンは、思わず息を凝らしてその恐ろしくも美しい光景を見つめ続けました。
うーん、言葉に出来ないな。色々書いてるけど。笑
これは手元に残したい!と思ったら、もうDVD出てるみたいですね。あまぞんさんでは在庫切れらしいので、ちょっと別で探してみよっと。