かなしい思い出。

私は、これまでの自分の恋愛の話や付き合っていた人についての話を比較的あっけらかんと話す方で、それはどんなにその時はつらかったことでも過去になれば笑い飛ばせるものだったり、その時楽しかったことはもちろん今でも楽しくて笑える思い出だったりして、そういうものも全部今の自分を作る要素だと思うから、別段気にせず過去の恋愛の悲喜こもごもを話す。恋人に対しても、前に付き合っていた人の話を結構する方だと思う。
ところで恋人はあまり過去の恋愛の話をしたがらず、もちろんそれは私を気遣ってのことである部分が大きいのだろうけど(そういう意味で私は本当に配慮に欠けていると思う)、この前も話の流れで彼の昔の恋愛について聴いてみたら、ぽつりぽつりと話してくれたのだけど、最後に「でも、過去の恋愛は、全部やっぱり少し悲しい思い出だな」と言われた。「一時はお互い本気で好き合っていて、でもどうしてもうまく行かなくなって別れてしまったものだから、どれも悲しい思い出」と言っていて、何故だかわからないけれどすごく驚いたし、すごく申し訳ないと感じたし、少しだけ、彼の過去の恋人たちに嫉妬した。こんなにきちんと向き合ってくれて、今でも悲しい気持ちを持ち続けてくれている人がいるだなんて、それってうらやましい気がする。そんなの、大切になんてしなくていいのに、だなんて思ったり。
まあでも、そんな小さな嫉妬で、今の大きな幸せを見失わないように気をつけなければ。そして私も、当たりかまわずそういう過去の恋愛の話をするのはやめて、恋人がどう感じるかも考えて、大事な思い出として静かに心に留めておくようにしたい。恋人と話していると、いろんな配慮というものに気付かされる。彼はいろんなものをとても大切にしていて、尊敬する。